現在発売中の「文藝春秋」7月号に、イェール大学教授の陳志武教授にインタビューさせていただいた記事が掲載されております。是非ご一読下さいませ! 
4月半ば、イェール大学の教授のオフィスにて、尖閣諸島問題と中国経済を中心に話を伺いました。

写真

尖閣諸島問題について、
「両国が主張を増大させる中、憂慮しなければならないことがたくさんあります。何より私は、両国がともに、戦争なしにはこの問題を解決できないと考えていることを懸念しています。だから、日中に気づいてほしいのです。アジア太平洋圏が長きに渡り、平和であったことに。もちろん、北朝鮮は常々緊張を生み出してはいますが、戦争までには至りませんでした。そのため、日中は大きな恩恵を受けて来たのです。この状況が変わることになってはなりません。日中は問題解決のため、軍隊に訴えるべきではないのです」
と語っておられたことが印象的でした。

また、本文には反映できませんでしたが、陳教授は「領土の価値」の低下についても言及されています。この点も興味深いですので、ここで紹介させて頂けたらと思います。
「日中両国には、領土の価値というものが、昔よりどんどん低下していることを認識してほしいのです。これについては、私なりにリサーチし、二月終わり、中国で開かれたある会議でスピーチを行いましたので、紹介しましょう。
 一八◯◯年から今に至るまで、世界の独立国の数は変化してきました。当時、二十カ国しかなかった独立国は、二◯◯年後の今では一九一カ国まで増えました。そのため、各国の大きさはこの二◯◯年の間に、明らかに小さくなって行きました。現在、中国人以外の人々は殆ど、わずか一インチの領土を得るために闘うという大きな犠牲を払おうとは考えていません。国土は、歴史的傾向として、どんどん小さくなっており、人々は、領土をそれほど真剣に捉えるべきではないことに気づいているからです。
 それでも、中国人が大きな国土を好むのには理由があります。「生きるために食べる」という考え方があるからです。つまり、国土が大きければ、誰も飢えることはないし、住む場所も確保できると考えているのです。ことに、中国のように人口が多い国の場合、人々を飢えさせないほどの領土の大きさは価値あるものとなります。
 では、人一人が生きるのにはどれだけの広さが必要でしょうか。原始時代、人は十五キロ平方メートルを必要としていました。当時、人は獣を狩猟して食べていましたが、食べた獣は別の動物を食べて生きていました。そんな食物連鎖があったため、この広さが必要とされたのです。しかし、農業や始まると、必要な広さは二キロ平方メートルへと減少しました。さらに、人が家で鶏などの家畜を始めると必要な広さは◯・五平方キロメートルまで減りました。今では、必要な広さはもっと減少し、原始時代の一五◯◯分の一になりました。高層ビルの出現と、貿易により海外から食料の輸入が可能になったことが、必要な広さの減少に貢献したからです。
 しかし、中には、防衛のために大きな領土が必要だと言う人もいるかもしれません。しかし、戦争の数も激減しています。十六世紀、十年中九年間は、多くの大国が戦争をしていましたが、十九世紀には、十年中一年間だけ、二国以上が戦争をしたに留まりました。二十一世紀の今日、戦争の頻度も戦死者の数も激減しています。防衛のため、大きな国土を欲する必要はなくなったのです。
 それでも、農地や工場用地、住宅地のために領土を得たいのなら、二つの方法があります。第一に戦争をして領土を獲得する方法、第二に貿易を通じて獲得する方法です。ブラジルやアメリカ、カナダの土地を買い、その土地の法律に従えば農業はできるし、工場やゴルフ場も作れます。現在は闘わずとも、国境を超えた貿易や投資により、土地の大きさは拡大できるのです。
 領土は価値があるかもしれません。しかし、以上のような理由から、戦争をしてまでして獲得するほど価値あるものではもはやなくなってしまったのです。
 特に、尖閣諸島のような、人が長年居住していない大海の小島をめぐって、日中が闘う価値などありません。また、日中のためだけではなく、世界のためにも、平和的解決が望まれます。
 では、どう解決したらいいのか。近代企業のアイデアを採用するのはどうでしょうか? もし、尖閣諸島に、石油などの資源が眠っているとするなら、日中二国で株を発行して国際会社を設立し、合法的に、島や島の資源を所有し、そこから得られる経済的利益をシェアするのです。ナイーブな考え方かもしれませんが、会社的構造にすることで、平和的に、また比較的簡単に、所有権や利益をめぐる紛争は解決できるかもしれません。
 しかし問題は、両国が、政治的利益を得るために闘っていることです。両国とも、誰がこの島を所有しようと、将来、経済的利益がもたらされないことはわかっているはずです。それにも関わらず闘っているのは、両国が、島をめぐる議論や紛争にただ勝ちたいがため。勝って、いい気分を味わいたいのです。自国民に良い顔を見せたいのです。紛争の理由は、資源がもたらす経済的利益にあるのではなく、政治的利益にあるのです」

中国経済については、ハード・ランディングは避けられないという予測です。
「今もまだ、中国では不必要な投資が行われ続けています。これから五〜十年間は、このことが大きな問題となってくるでしょう。日本でも、不必要なインフラへの投資が行われましたが、中国では、日本よりもはるかに大きなスケールで行われているため、問題はいっそう深刻です。ハード・ランディングは避けられません。
 こういった問題の根源には、“思い上がる”という人間の気質があると思います。中国は日本のように、また、一九九七年以前の韓国のように成長しているため、傲慢になり、構造改革のプレッシャーを感じていないのです。
 そんな中国の目を覚まさせるには、ある意味、ハード・ランディングという危機が必要なのかもしれません。危機が起きない限り、中国は構造改革に踏み切らないポジションを取り続けるでしょう。金融危機と経済危機が起きて初めて、構造改革に乗り出すことになると思います。そして、この二つの危機が、今後五〜十年以内に起きる可能性は非常に高いのです」

IMG_2026_convert_20130618041141.jpg
イェール大学のキャンパス。中世にタイムスリップした感覚に襲われました。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

本日も、マイブログへのご訪問、ありがとうございました!

LOVE YOU

ブログランキングに参加中です。
下をポチッと、クリックしてね。

Thank you so much
スポンサーサイト
テーマ:雑誌掲載&取材
ジャンル:本・雑誌
コメント
コメントを投稿
URL:
Comment:
Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可
 
トラックバック
この記事へのトラックバック